その紫の 黄昏の
ウォーターヒヤシンス (ホテイアオイ) ミズアオイ科 暑い! 暑いったら暑い! 真冬の寒さに凍えそうな日は灼熱の炎天下に憧れるくせに、灼熱地獄にいると八寒地獄に恋焦がれるのだから勝手なものだ、と己を恥じる。 地球に生まれしものは 人間以外 文句も言わず 与えられた場所で静かに生を全うするというのに。 彼らの姿が消え去るときに見る 黄昏の向こうには きっと憎しみも妬みも悲しみもないのだろう。 ただ愛おしさだけを抱きしめて。 なんて潔くて清らかなのかしら いつか自分が旅立つときには そんなふうに見習ってこころ静かに出発したいなぁ。 ならば 今の自らの生を生ききって死にきるよう集中しなければ。 沢山 笑い、悲しみ、感謝しながら。 知っていますか? 心静かに旅立っていった、 あなたが大好きだった 懐かしい いきものは (人間を含む) 黄昏のむこうで それは美しい微笑みを浮かべ、 万物に祈りを捧げながら その愛するものたちの傍らに静かに佇むがごとく 平安を願ってくれる。 紫色の黄昏が恋しいのは その尊さをこころが自然に 慕うからなのかもしれない。 亜熱帯に似た熱気をそれでも疎ましく感じる私は 静かに咲く紫色の花に敬意を払おう。